電気・電子工学専攻の概要
全体の概要
電気工学専攻と電子工学専攻は、組織上では一体の運営を行ってきている一方で、研究上は、それぞれの専攻の自主性を尊重している。2002年に採択され2006年度まで実施された21世紀COEプロジェクトや桂キャンパスへの移転(2003年)を契機にして、電気電子関連の学術分野の将来を包括的に展望し、電気工学専攻と電子工学専攻の学問的成果の総合化、融合化を図っている。2007年度から2011年度まで実施されたグローバルCOEプロジェクト、2018年度に採択された卓越大学院プログラム「先端光・電子デバイス創成学」においても、両専攻が協力して電気系2専攻としての新しい工学分野を創出するために、以下に詳細を述べるように、基礎研究を重視しつつ、実社会との相互作用をも含めた新たな展開を目指している。また、優秀な外国人研究者を積極的に受け入れ、国際感覚に優れた高い能力をもつ研究者・技術者の養成に努力し、我が国における電気電子基盤技術の発展を担う人材の育成に力を注いでいる。
電気工学専攻の概要
電気工学専攻は、先端電気システム論、システム基礎論、生体医工学、電磁工学の4講座、ならびに、2つの協力講座と1つの寄附講座からなり、電気工学に関する最先端の研究を行っている。先端電気システム論講座では、エネルギーの効率的運用に関わるパワーエレクトロニクス技術の研究・開発を行っている。システム基礎論講座では、計算機を用いたディジタル制御の理論と応用に関する研究を進めている。生体医工学講座では、生命システム、医療のための制御システム、電磁界に基づく生体の機能情報計測、電界の解析と工学応用を研究している。電磁工学講座では、超伝導現象の電気工学分野への応用、電気・電子・計算機回路網、計算電磁気学の研究を進めている。さらに、2つの協力講座では電波工学ならびに情報メディア工学に関する研究を、寄附講座では地球環境への負荷を低減するための先端電気機器に関する研究を推進している。
電子工学専攻の概要
電子工学専攻では、エレクトロニクスの根幹をなすハードウエアの構築のための先進的工学技術に関する教育・研究を行っている。すなわち、微細化、集積化による新しいデバイス機能の実現、電子・イオンあるいはプラズマ発生源の開発とそのデバイス製造への応用、半導体・誘電体・有機分子材料の界面表面制御による新機能材料やデバイスの創製、電子・光の量子効果を利用した新しい光材料やフォトニックデバイスの開発とそのエレクトロニクスへの応用などを精力的に進めている。現時点では以下の3項目を研究開発の柱としている。
- 新規高性能電子材料の研究:ポストシリコンあるいは新しい用途への展開を睨んだ、SiCやIII-V族系のワイドギャップ半導体、複合酸化物系誘電体・磁性体、有機分子系半導体、トポロジカル絶縁体などの各種電子材料の結晶成長や基礎物性に関する研究
- 新機能デバイス・システムの研究:高温超伝導デバイス、新機能スピントロニクスデバイス、パワーエレクトロニクス用SiCデバイス、青~紫外域発光デバイス、各種表示デバイス、分子メモリーデバイス、2次元・3次元フォトニックデバイスなどの開発とそれらの集積化、ならびに量子計測、量子コンピューティングの基礎に関する研究
- 超微細材料プロセス法の研究:正負イオンやそのクラスターあるいはプラズマを用いた新規プロセス用ツールの開発と、その応用技術の展開に関する研究